100歳まで生きるということ


わが国では、100歳以上人口が6万人を超えたという。これはメデタイことなのか、そうでないのか不明だが、日本は超高齢化社会に突入した。私は超高齢化社会が必ずしも悪いことだとは思わない。ただ高齢者の多くが非労働者であり、非納税者なのだ。医療に留まらず、介護を受け相当な額の社会保障費を浪費している。そこが問題だ。

聖路加病院の日野原先生は死ぬまで仕事をしていた。死後も著作で印税が入る。なんと素晴らしい。私の所属する気仙沼市医師会のO先生も85歳になられた現在も内視鏡を使って診療されている。誰もが、超高齢者になったとしても金を稼いで暮らしていける超高齢化社会なら問題はない。当クリニックの患者さんでも90歳の今も毎年畑を作り、季節の野菜を届けてくれる方がいる。

今や、100歳まで生きることは昭和時代に比べれば容易なのだ。ただ介護を受けながら、だらだらと社会保障費を浪費することが問題なのである。生きている限り、働いて金を稼ぎ暮らせる状態を100歳まで続けることが超高齢化社会に、もっとも求められており必要なことだと考える。作家の瀬戸内寂聴さんや佐藤愛子さん、あるいは橋田寿賀子さんなど皆さん働いて所得を得ている現役なのだ。

我々、医者は単に患者の健康を維持させるというのではなく、超高齢になっても働ける体作りを指導し提供するのも重要な役割なのだと考える。タニタの体組成計を見ていると下肢の筋力が低下しているケースが非常に多い。よってまず筋肉を維持し、骨密度を改善させ、NASHを予防し、弁膜症による心不全を早期に発見し治癒せしめて100歳まで元気に働かせてやる。特に高齢者に対しては必要だと思う。

100歳まで生きることに価値があるかと自問することが、たびたびある。しかし100歳でも家事ができ、畑を作れるなら100歳まで生きる価値はある。そのために医療費が掛かっても、多少の介護費が掛かっても、その社会保障費は必要だ。テレビでは効果不明の健康食品が、これでもかと宣伝され決して安くはない金額で売られているが、それらに頼らなくても良い医療を提供するのが医者の仕事でもある。

誰でも考えることだが、寝たきりの100歳はゴメンだ。100歳になっても元気で働ける100歳になろう。その為には動物性タンパク質をしっかり摂り下肢の筋肉を維持しよう。そのためには多分、血清アルブミン値は最低でも4.5mg/dl以上を維持する必要がある。厚労省の推奨タンパク質摂取量は1日あたり60gだが肉だと約300gである。鶏卵だと7~8個になる。

炭水化物や脂質と異なりタンパク質は意識して積極的に摂らないと、不足する栄養素である。また体を構成するタンパク質は動物性タンパク質なので、魚介のみで不足なく摂取するには無理がある。アニサキスアレルギーが無ければサバ缶やアタリメなども動物性たんぱく質が豊富だ。とりあえず60歳からは、100歳まで現役で働く体作りが必要だと考える。