ARの一例でECFとICFを考えてみた


76歳の女性。心胸比60%かつ心雑音があり循環器科でARと診断されている。BNPは100pg/ml前後で腎機能や肝機能に異常はない。2017年2月10日に行ったInBodyでは身長146cmで45.9kgの体格でECW9.3kg、ICW14.8kg、TBW24.1kgと計測された。この時に全身のECW/TBWは38.7%であった。

同年の9月15日に行ったタニタの体組成は146cm、体重45.55kgでECW11.0kg、ICW14.6kgと計測された。同日、ほぼ同時刻の血算でRBC411、MCV95であった。このデータを元にタニタの体組成を補正してみた。

本来あるべきECWは11.0×411/470=9.6kg、さらに本来あるべきICWは9.6×95/97×1.61=15.1kgになった。TBWは9.6+15.1=24.7kgと補正された。で、ECW/TBWは38.8%と得られた。もしも、素のタニタでのECW/TBWは43%になる。

InBodyの評価だとECW/TBWは「やや高い」に分類される。この患者に浮腫はないが下腿に静脈瘤を有する。静脈は容量血管であり循環血漿量が増加すると、これを代償する。むろん利尿亢進でやがて循環血漿量は減少するが一旦は容量血管である静脈が拡張して代償する。尚、この補正式ではRBC470万、MCV97、Alb4.7g/dlを基準にした。

ただ何らかの理由で静脈の拡張が続くと静脈から水が溢出すると間質に浮腫を形成する。もしかすると高ECW/TBWの状態で膝の屈曲などが何度も繰り返されると静脈瘤が形成される可能性がある。静脈瘤は通常の下腿の静脈より多い量の水を貯えるので、逆に浮腫は軽減すると想像される。

蜘蛛状血管腫は皮膚表面に見られる毛細血管レベルの静脈の拡張とみなすことは可能だ。静脈瘤がなくとも慢性浮腫の患者の下腿(足首付近)に散見する。一般的に蜘蛛状血管腫は肝硬変の末期の腹水や浮腫の出現時見られるとされているが、他のECW/TBWが高くなる疾患でも出現する可能性がある。

ARでは1回心拍出の際に逆流があるため、循環動態を安定させるべく循環血漿量は増加する。これは三尖弁逆流症、心房細動、ペースメーカー心でも同様の機序で循環血漿量は増加する。体組成計ではECW/TBWが高く出る。血液検査では血漿量増大のためRBCは希釈され減少する。ただ、この状態が不変で長期に渡る場合38:62によりICFは増加しMCVは高めに出るという結論に達した。

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