FreeStyleリブレPro始めました。


まずリブレとはAbbott社から発売されている血糖測定器だ。当クリニックでもCGM(24時間血糖測定器)の購入を検討していたが、こちらの方が安価で採血による血糖値の補正が不要であり即、購入に至った。その使用経験を述べてみる。まずその概要だがLancetより・・・

 「FreeStyleリブレ」は、従来の持続血糖測定器(CGM)と異なり、センサーの正確性を維持するための日々のキャリブレーションが不要だ。センサーは工場出荷前にキャリブレーションが済んでおり、その後の患者自身が指先穿刺を伴う日々のキャリブレーションを行なう必要はない。

 患者はセンサーを上腕の後部に装着し、少なくとも8時間に一度測定器をかざして、センサーに記録されているデータを読み取るだけだ。医療従事者は患者にキャリブレーションの方法を指導する必要がなく、毎回の洗浄・消毒を必要とする送信機や部品も使用していないため、業務量や時間を大幅に削減することも期待できる。

 「今後の研究で、血糖コントロールが不良なより若い糖尿病患者でも、"FreeStyle リブレ"の使用が効果的かどうかを調べる必要がある」としながらも、本研究で得られた知見から、「"FreeStyle リブレ"は、血糖コントロールを悪化させずに低血糖の発症率と時間を有意に減少させることが明らかになった。低血糖時間の38%の減少は大きい。従来の血糖自己測定の代わりに安全・効果的に利用できる。 Lancet. 2016 Nov 5; 388(10057): 2254-2263

私の場合IGTを有する大酒家である。DMやIGTの患者はアルコールとの相性が悪い。それはアルコールがグルカゴンの分泌を抑制するので低血糖を生じる可能性があるからだ。厳密にいうとⅡ型糖尿病で糖尿病治療中の患者やIGTの大酒家が低血糖を生じ得る。私の場合、後者である。ちなみに、この検査は糖尿病専門医などがいるような施設でしか保険適用がされない。(2017年3月18日時点で)

3月7日にセンサーを左上腕に貼付したのだが、本来なら貼付直後にリーダーに登録しなければいけないところ、登録を忘れた。その経過を見るためにリーダーをかざしたところ無反応だったので改めてリーダーに読ませた(かざしてONするだけ)。再設定したのが3月9日17時34分であった。この時、17時前後に社員と函館塩ラーメン(藤原製麺)を食した後だったので、開始血糖値は147mg/dlであった。

18時から薬局との懇談会という名前の地獄の飲み会が始まったのだが詳細は省く。とりあえずビール、焼酎、ウイスキーなど飲みながら昨今の患者の動向や、処方の問題点あるいは趣味の話などを鶏唐揚げやおでんなどを食しながら飲んだのだ。18時19分に血糖値が96mg/dlを記録してのち、19時04分に血糖値141mg/dlを記録して3月10日0時49分から100mg/dlを下回った。おそらく摂食した食品に含まれるブドウ糖が枯渇した時間だ。

3月9日は何時に寝たのか記憶にない。それほど飲んだ。推定では40度ウイスキー換算で500ml程度。まず3月10日1時34分に血糖値が76mg/dlを記録した。以後、血糖値は68mg/dl~97mg/dlを推移している。この時間帯は糖新生抑制による低血糖モードの状態にあったと推定される。3月10日は6時30分に起床、その直後フルクトース15gを内服した。15分後に血糖値は100mg/dl台に復帰した。

その日の昼食は午前11時に野菜たっぷりのタンメンであったが、タンメンによる血糖値上昇は12時4分の113mg/dlであった。その後、血糖値は100mg/dl前後を推移し17時15分に夕食を摂るまで安定していた。この日の夕食はギョーザ8ヶと白米1杯と味噌汁・漬物などであったが18時34分に血糖値が164mg/dlまで上昇し、その後徐々に血糖値は減少した。この日は19時過ぎからウイスキーを飲み始めているので血糖値の低下には、飲酒の影響も加味されている可能性もある。20時34分には血糖値が90mg/dl台に低下している。

22時19分に空腹を感じて日清のスープヌードルを食べたのだが、この時の血糖値は89mg/dlであった。スープヌードル摂食後23時19分に血糖値が138mg/dlとピークを迎え3月11日0時4分に血糖値は100mg/dlを下回った。この時間帯は睡眠中であり血糖値低下の自覚はない。しかし1時34分には血糖値が80mg/dlを下回って低血糖モードに陥っている。この時間帯はヌードルによる血糖値上昇に対してインスリンが分泌されたこととアルコールによる糖新生抑制が重なったためと考える。

3月11日2時34分に血糖値が90mg/dl台を維持しているが、6時19分に血糖値は100mg/dl台に上昇した。おそらくアルコールが抜け、糖新生抑制がなくなったためと考える。この日の朝食は10時半にファミマのハムサンドとトマトジュースであったが10時19分の血糖値が114mg/dlでピークは11時4分の162mg/dlであった。

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1例のみの個人的な経験でFreeStyleリブレProについて語るのも意味はないかもしれないが、判ったことが多かった。まず私は少なくともIGTであった。飲酒しながらの食事は血糖値を上げるが食事に含まれるブドウ糖の影響で食事1時間後には血糖値が低下する。その後、血糖値がやや上昇するが、これは糖新生によるものでなくグリコーゲンの作用だと推論した。食事により血中ブドウ糖は上昇するが、インスリン分泌により速やかに低下しやや低血糖に陥る。その後、グリコーゲンの働きで血糖値は90mg/dl台を維持している。

酒飲みの糖尿病治療中の患者や過度に糖質制限を行っている人たちは夜間から未明~朝方にかけて低血糖モードに陥っている可能性がある。私見では低γグロブリン血症を呈する人たちが、それらに該当するであろう。私も糖質制限を長期に渡って行った結果低γグロブリン血症ならびに低IgG血症を呈していたが睡眠前の間食で低γグロブリン血症と低IgGが改善した。

また夕食~眠前に塩分を過剰に摂取することによってMCVの値は108から100まで改善した。高血圧症を有する大酒家が飲酒中に過度の塩分制限を行うとMCVは増大する。つまり飲酒は細胞内浮腫を生じている。ただ赤血球は筋肉細胞や脂肪細胞と異なる可能性がある。それは常に血漿中つまり水分に浸かっているため赤血球細胞内外の水の移動は時間を要する。赤血球細胞膜の特殊性とも考えられる。

とりあえずFreeStyleリブレProは糖尿病治療の新たな光明であると考える。また低γグロブリン血症をていしている大酒家、糖質制限者などにも装着してみる価値はある。月に1回、たまたま測った血糖値とHba1cで良い・悪い・まずまずだなどと言っている時代は過ぎた。