再びマイコプラズマ


先日、当地域のマイコファミリーがA型インフルエンザに罹患し、その後マイコプラズマを発症した家庭があった。マイコファミリーとは自宅内にマイコプラズマが常在し、たびたび気管支炎を発症するファミリーであると以前に説明したことがある。その家で家族全員がA型インフルエンザ感染・発症後マイコプラズマが家族内で複数人発症したのだ。

最初は30歳代の嫁と、その子供たちが高熱を発し自治体の病院を受診しA型インフルエンザと診断された。その直後、30歳代の夫が高熱で同じくA型インフルエンザとなり、同時に両親がならびに祖父が高熱を発した。両親と祖父が当院の患者であったのだが、急性期には受診せず、夫婦は発熱後、1週間目の予約日に激しい咳を訴えて来院した。

インフルエンザ迅速検査は陰性、夫婦とも白血球は軽度増加、妻はCRP0,7mg/dl,夫はCRP7,2mg/dlとの結果であった。妻にはマイコプラズマ抗体の検査を行ったが40倍未満で陰性の結果を得た。夫にはマイコプラズマの検査を行っていない。しかしマイコプラズマだと診断し、妻にはアジスロマイシンを、夫にはCOPDを有していることからレボフロキサシンを処方した。

この家族は、当院で把握しているマイコファミリーのひとつなのだ。当地域では東日本震災後マイコプラズマが大流行した。その後、小規模のマイコプラズマの流行が繰り返されている。昨年秋から気仙沼市、南三陸町はマイコプラズマが流行している。当クリニックでは数家族をマイコファミリーと認定しており、彼らの家族もマイコファミリーと認識していた。

マイコプラズマの診断は難しい。発症後1週間で抗体が陽性を示すことは必ずしも多くない。当クリニックでマイコファミリーと認識していたのでマイコプラズマと臨床症状から判断したのだ。

さらに某デイサービスを提供する福祉施設でもマイコプラズマが大発生した。当地域の老人の多くが当クリニックに通院しているので、咳をしているお年寄りがどこでデイサービスを受けているか聞けばマイコプラズマか、すぐに判る。3人ほど検査をすれば一人ぐらいマイコプラズマ抗体陽性を示す。

当地区にある災害公設アパートでも流行した。ただ初めてそこの住人からマイコプラズマが検出されてから3か月に渡って、ポツリポツリと発症した。デイサービス施設と異なりアパートは個室であるがゆえに、ゆっくりと広がったと考えた。もしかするとみんなが集まる集会所に菌が住み込んでいるのかもしれない。

急性期マイコプラズマは発熱がないことが多い。だから咳がひどいということで医療機関を受診する。マイコプラズマの急性期には抗体検査が陰性であっても1時間に10回以上の咳、一晩で20回以上の咳があり、家族、教室、部室、職場にそのような激しい咳をしている者が複数人いれば、まずマイコプラズマで間違いない。

マイコプラズマはバクテリアに属する病原体であるが、ウイルスにも似ている点がある。それは白血球増多やCRP強陽性を示すことは少ない点である。もし、そうであれば他の細菌との混合感染である。またウイルスとマイコプラズマの大きな違いはウイルスのように容易に死滅せず、その環境に住み着くことである。だから何回も感染を繰り返すのが特徴だ。