夜間塩分欠乏性脱水症


暑い夏がやって来た。昼間は積極的に飲食ができるので、水分補給は可能だが、問題は夜だ。仮に夜、寝る前に水を飲んだとしても塩分欠乏性脱水症は予防できない。例えば、夕方6時に夕食を摂った場合、翌朝の朝食まで12時間以上の絶食である水分補給だけでは塩分が欠乏する。高血圧や心臓疾患、腎臓疾患などで減塩している患者でも、よほど重症でない限り眠る前には塩を摂るべきである。

塩類欠乏性脱水症の症状は深夜~未明に生ずる下肢などの筋クランプ、脇腹などの筋肉痛、起床時の起立性低血圧によるふらつきや眩暈症。難聴傾向、ひどい場合には脳梗塞などが出現することがある。特に瘦せ型でIGTやDM型(すなわちHbA1cが正常でも食後過血糖を有する)の人や、発作性心房細動、もちろんSGLT-2阻害剤使用中の糖尿病患者は特に夜寝る前にNaClを1~2g程度と水200~300mlを摂ることを奨める。

当地域では一次産業に従事する人が多く、朝食前に1~2時間ほど仕事をする。そのため朝に脳梗塞が多く発症する。夜間睡眠中でも発汗、不感蒸散、尿生成は行われる訳であるし、耐糖能障害があれば高浸透圧利尿が亢進する。また高血圧や心不全の患者では利尿剤や、糖尿病患者ではSGLT-2阻害剤を使用しているケースもある。これらでは夜間塩類欠乏性脱水症に注意が必要だ。

当クリニックでは夜寝る前に小粒梅干し2個にコップ1杯の水もしくはストレートタイプそばつゆを50mlにコップ1杯の水を摂るよう指導(下記画像参照)しているが、説明してもよく判らない患者にはフルクトース3gにNaCl1gをミックスした物を、眠前にコップ1杯の水に溶いて飲用するよう処方することがある。また朝食前に農作業などする場合に仕事前に塩昆布茶を摂取するよう指導している。

脱水症状がなくても血圧などから、あるていど循環血液量が減ったか推測できる。例えば大動脈弁逆流症や狭窄症がなければ脈圧(最高血圧と最低血圧の差)と心拍数数から循環血液量を推定できる。すなわち脈圧が狭く、頻脈傾向にあれば脱水症の可能性がある。それゆえ毎朝、自宅で動き出す前に、そっと静かに血圧を測定してみよう。

減塩は医療費を下げ社会的コストを下げると言われているが、全てケースバイケースである。あなたが減塩適応者かどうか良く考える必要性がある。ただ減塩適応者であっても、暑い時期の夜間睡眠前に塩類を盛ることは必要だと考える。なお閉経前の女性の場合にはエストロゲンの働きで浮腫を形成する可能性があるので注意を要する。また偽性アルドステロン症の患者も気をつけた方が良い。詳しくは主治医に相談しよう。

追記:塩類とはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど基本的に陽イオンなのだが、塩分とは主に浸透圧を構成しているのがナトリウムとカリウムなのだ。

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