SGLT-2阻害剤による減量耐性

SGLT-2阻害剤が発売されて1年半になる。当クリニックでは100名弱の患者に使用しているが90%以上使用を継続している。皮疹が原因で中止した者は1~2名、尿路感染症で中止した者は1名、カンジタ症状が出現した者にはジフルカンを併用してSGLT-2阻害剤を続けている。多尿で仕事ができないと訴えで中止した者1名であった。

ただランタスなどのインスリン補充療法を行っていた患者3名は、これを中止した。もちろんSGLT-2阻害剤単独での糖尿病コントロールは困難だがDPP4阻害剤やメトホルミンさらには即効型インスリン分泌促進剤の組み合わせで、今のところHba1cは7%台を維持している。従来のSU剤は最低量に留めている。膵外分泌を少しでも軽減させる目的である。

また体重減少の最高は12kg、通常3~5kgは減少する印象だ。中には体重減少がほとんどない症例も数名存在する。また当初、体重が減少したものの逆に増加に転じた者も数例存在する。体重の減らない者は肥満遺伝子を有する者と考えているが、肥満遺伝子にホモ(両親が肥満)とヘテロ(片親が肥満)が存在するならホモの遺伝子を有すると考えている。

SGLT-2阻害剤を使用するということは糖質制限食と同じであり時間が経つと減量耐性が出現する。すなわち糖質不足が長期にわたり代謝が低下したと考える。もっとも京都高雄病院の江部先生が行っているスーパー糖質制限食ほどの糖質制限ではないから極端な代謝低下にはつながらないが、減量耐性により脂肪肝が再出現あるいは悪化に転じる症例もある。

これは夏期という季節が影響した可能性がある。代謝を調節するのは甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモンだが、その上にTRF(甲状腺刺激放出ホルモン)が存在する。夏期のような高温の状態が続くと視床下部からTRF分泌が亢進するため下垂体前葉から分泌されるTSHは上昇する。結果、甲状腺ホルモンが減少する。すなわち夏期は低代謝に傾くのだ。

ガイトンの書より「ラットの数週間の厳しい寒さへの暴露は甲状腺ホルモンの産生を、時に正常の100%以上増加させ、基礎代謝率を50%も増加させることができる。事実、寒冷地域へ移動した人たちは基礎代謝率が正常の15~20%上昇することが知られている。」

つまり夏期には、これと逆の現象を生じる。基礎代謝は低下しエネルギー燃焼は沈滞する。

体重が増えたり、脂肪肝が再発した例にはSGLT-2阻害剤長期使用による減量耐性のほか、夏期という季節の影響もあり得るのだ。もしそのような患者がいたら寒くなるのを待つか、あるいは過活動性膀胱の適応症でβ3刺激剤ベタニスを併用しても面白そうだ。結果が出るのは1~2か月後になると思うが。いよいよ代謝を調節する「甲状腺」へと話を向けよう。

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