アルブミンの話

血漿中に存在するタンパク質は主にアルブミン、グロブリン、フィブリノゲンであるとされる。肉や魚などにより摂取されたタンパク質はアミノ酸という形で吸収され血液中を移動し全身の組織材料(筋肉、皮膚、爪、髪、肝臓などの臓器細胞)として利用され、同時に肝臓で血漿タンパク質として合成される。その血漿中のタンパク質がアルブミン、グロブリン、フィブリノゲンである(ここでは血清=血漿とご理解ください)。

 

ガイトン [Arthur C.Guyton John E.Hall, 2010, ページ: 902]」は次のように述べている。

 

  アルブミンの大きな役割は、血漿に膠質浸透圧を付与して、毛細血管からの血漿の喪失を防ぐことである。グロブリンは、血漿

  中でいくつかの酵素的機能を果たすが、等しく重要なのは、侵襲生物に対する生体の自然および獲得免疫に主役を演ずることで

  ある。フィブリノゲンは、血液凝固の過程で重合して、長いフィブリンの糸になり、それによって血餅を形成し、循環系の漏れ

  の修復を助ける。

 

結論からいうと血清アルブミン値だけがタンパク質の摂取量を反映できるマーカーなのである。グロブリンは感染症や血液病で容易に変動するが、なければ常に安定している。同様にフィブリノゲンは出血性病変で変動するが、なければ常に安定している。もちろんアルブミンとて肝硬変やネフローゼ、蛋白濾出性胃腸症あるいは心不全や脱水症で変動するが、それらを鑑別して見極めれば血清アルブミン値はタンパク質摂取量に比例する。

 

例えばHIVやウイルス性慢性肝炎などの慢性ウイルス感染症ではグロブリンは高値を示す。脂肪肝などの栄養性慢性肝炎では高値を示すことは稀である。逆にグロブリンが低値を示す場合は稀であり骨髄やリンパ組織の障害を示唆する。フィブリノゲンも感染症などの炎症で高値を示す以外には播種性血管内凝固症で変動するが通常は極めて安定している。フィブリノゲンは肝硬変で減少する可能性があるが決してタンパク質摂取量を反映しない。

 

ちなみに肝硬変が存在する場合、肝臓でのタンパク質合成量が低下し低アルブミン血症を呈し、逆にタンパク質から分解されるアンモニアが高値を示す。ネフローゼは尿中よりタンパク質が失われ、蛋白濾出性胃腸症では便中よりタンパク質が失われるため低アルブミン血症を呈する。心不全では心臓の全身への血液の供給不足を体液増加でカバーするために循環血漿量が増加しアルブミンは希釈され薄まるため、結果として低アルブミン血症を示す。

 

骨粗しょう症の治療にはビタミンDやカルシウムも重要であるが骨コラーゲンの供給元としてのタンパク質摂取が更に重要である。創傷治癒を促すためには材料としてのタンパク質の供給と、微小循環領域に血流(膠質浸透圧)を提供するという意味でタンパク質摂取は重要である。ずばり、タンパク質摂取量を評価できる唯一のマーカーが血清アルブミン値である。

 

 

引用文献

Arthur C.Guyton, John E.Hall. (2010). Textbook of Medical Physiology,11th Edition(ガイトン生理学 原著第11版). (御手洗玄洋, 訳) 港区, 東京都, 日本: エルゼビア・ジャパン株式会社.