食欲について

性欲と食欲は動物の本能的な欲求である。性欲は子孫を残すため、食欲は今を生きるための二大欲求である。この二つを欠くようなら、その動物は子孫を残せず死滅する。ある動物は子孫を残すため一度の妊娠で何頭の胎児を妊娠する。また、ある動物は年に何度も妊娠する。それが子孫を残すためであり子孫の繁栄につながる。子孫を残すなら昆虫も植物も同様である。子孫を残すために植物はメシベとオシベは存在し、動物は雌雄に分かれる。

 

植物も動物も栄養が必要である。栄養がなければ植物は結実しないし、動物は成熟する前に息絶える。子孫を残すためには人間も同様である。ただ人間は高等動物である。猿やイルカより進化した高等頭脳を有した哺乳類である。性欲と食欲の上に物欲がある。金銭欲や名誉欲も同様である。猿はロレックスを欲しがらない。イルカはルイヴィトンを欲しがらない。毎日、今日は何を食べようか迷わない。それが最高の頭脳を得た人類がすべての動植物の頂点に立つ。

 

かつてラットへのストレス実験で小さなストレスでは食欲が亢進し、大きなストレスでは食欲が減退するという報告があった。元京都府立医大の教授をされていた吉田先生の講演でも「人間の場合もストレスが過食に走らせる」との話を京都の閉鎖的な旧家の嫁さんと姑の話にたとえ解説されておられた。また「肉親の死や失恋などの大きなストレスでは食欲が減退する」とも解説されていた。

 

さきの東日本大震災による津波で被災した南三陸町歌津の2つの小学校では震災後、児童の体重が大幅に増加した。また一方の学校は直接被災し授業が出来なくなったため、もう一方の学校の教室を間借りし授業を再開したのだが、間借りした小学校の児童の体重増加はさらに著しかった。当時、津波被害により運動が十分できなかったということもあったと思うが、それ以上に児童にとって相当のストレスであったと推察する。しかも高学年の児童に顕著であった記憶がある。

 

人間の場合、いわゆる思春期になると性ホルモンの分泌が増し二次性徴が明らかになる。異性を意識するようになり、お洒落に関心を持つようになる。中には食欲を抑えて減量にトライする者も出てくる。これは言い換えると性欲の開化である。思春期には食欲を抑えて性欲が強くなる。このため思春期痩せを生じやすくなる。またスポーツ選手では体重管理が厳重なため、女子の場合には痩せから無月経を生ずることになり昨今、問題視されている。