急性上気道炎

感冒は⑴咽頭炎や鼻炎、扁桃炎、喉頭炎などのような上気道に炎症の主体を置くもの、⑵気管支炎や気管支肺炎、肺炎などのような下気道に炎症の主体を置くもの2つに分類される。感冒は基本的に感染症が原因であり、その大半はウイルス感染である。細菌感染は溶連菌感染症による扁桃炎を除いては二次的に発症すると理解して良いだろう。

 

インフルエンザウイルス感染症は大方、肺炎を併発することなく治癒に向かう。中には気道アレルギーがあり気管支喘息を生じる例も存在するがインフルエンザの際に肺炎を生じた場合は基本、細菌による二次感染症だと言える。

 

急性咽頭炎は扁桃腫大や嗄声の症状はないが発熱や咳嗽、鼻汁などカタル症状を伴う上気道のウイルス感染症である。まれに胃腸炎症状や皮膚症状を伴うことがあるが基本的には抗菌剤の投与は必要なく対処療法で緩解・治癒する。嗄声を伴う場合は声帯付近に炎症が存在することを示唆するもので細菌感染やウイルス感染などが考えられる。

 

扁桃炎は溶連菌感染症だけでなく他の細菌感染でも生じる場合もある。したがって白苔が付着したり、発赤が強い場合は抗菌剤を使用する。しかしヘルパンギーナの場合は口蓋垂の周囲のアフタが特徴的であり、抗菌剤は用いない。問題は鼻炎を伴った場合であろう。感冒発症初期は鼻汁だけの症状だったが継時的に鼻閉を合併する。それが数日~十数日経過すると炎症が副鼻腔に波及する。いわゆる副鼻腔炎ということになる。

 

鼻閉が存在すると鼻腔内圧は上昇し、副鼻腔に波及し副鼻腔炎を生じる。また特に小児では耳管が短く直線的であることから中耳に炎症が波及し中耳炎を生じる。長引く鼻閉に発熱や顔面痛などがあれば抗菌剤は必需である。また中耳炎の場合、初期に中耳内圧が上昇しないため痛みが乏しいが、副鼻腔炎と同様に長引く鼻閉に発熱があれば抗菌剤を投与しなければならない。

 

また普通感冒であってもハウスダストやダニアレルギーを有するようであれば、初期より鼻炎症状や咳喘息的な激しい咳嗽を伴うこともあるので抗アレルギー剤やロイコトリエン拮抗剤を投与し、気道アレルギーによる悪影響を最低限に抑える必要がある。そうすれば気管支喘息に進展する頻度は減らせ得ると考える。また気道アレルギーによる炎症の主座と上気道炎による炎症の主座は同じであり、問診により気道アレルギーの有無を確認し、その上で経過を診ながら、あるいは想像しながら抗菌剤投与すべきか判断すべきであろう。

 

 

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