脂肪肝について

アルコール性脂肪肝と呼ばれる疾患群が知られている。これは単純に酒の飲み過ぎにより肝臓に脂肪が蓄積した病態だと説明される。一方で『NASH』と呼ばれる非アルコール性脂肪肝も、ここ数年話題になった。これもまたカロリーオーバーや運動不足などが背景にあって生じるものであり「生活習慣を見直して…」などと解ったつもりで説明する医者が少なくない。

 

私の経験から言うと脂肪肝の原因はアルコールではなく、夕方から就寝までの夜間に高インスリン血症が続くと脂肪肝が出来上がる。肥満から生じるインスリン抵抗性で血中のインスリン量が多かったり、夕食後に夜食として多々糖質を摂取した場合などのように夕方の高インスリン状態と高糖質や高カロリーによる高中性脂肪血症が重なると、それらは内臓脂肪として肝臓などに蓄積する。

 

なぜ夜間なのかというと、夜間は四肢でのエネルギー消費が乏しいから余剰なカロリーを肝臓で消費、すなわち蓄積して処理するためだ。夜間、大方の人はパソコンをいじるかTVを観て寝るだけなのでエネルギー消費は極めて少ない。かつエネルギー燃焼系の交感神経系の働きも減少するため、当然のことエネルギー蓄積に傾く。体温を維持するためエネルギーは四肢よりも内臓を中心に集約されるのかもしれない。

 

三陸沿岸地域の高齢者は朝、海仕事をするため早く就寝する。だが夕食時間は子供や孫の帰宅に合わせて遅い。仮に子供や孫の帰宅時間が午後6時だとすると夕食は午後7時になる。夕食後に入浴するとしても午後8時、遅くとも9時には床に就く。つまり夕食で摂取したカロリーはエネルギーとして利用されることなく肝臓で処理され蓄積される。だから、この地方の人は夜型でなくとも脂肪肝を生ずるし、アルコールを摂取しなくても脂肪肝に至るのだ。

 

これを、どのように対処すれば良いのか。まずは夜間の高インスリン血症をきたすような食生活をやめる。さらに夜間、四肢を使った運動を行い、エネルギー消費を増大させる。同時にインスリン抵抗性の元凶となった肥満を是正するしかないのだ。昭和時代のようなビールで始まり日本酒や天ぷら、寿司、〆にラーメンの食生活では糖質過剰となり糖尿病や脂肪肝へと容易に至る。また同様にカウチソファーで横になりテレビを観ながらポテトチップスを食えば、糖尿病まで至らずとも脂肪肝になる。

 

ところで焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は、その代謝に直接インスリンを介さないため脂肪肝が生じにくい。しかしアルコールは代謝の最後に中性脂肪へ変換されるので、高インスリン血症をきたすような高糖質の肴とともに蒸留酒を摂ると、脂肪肝に寄与する可能性がある。反対に低糖質の肴で蒸留酒を摂取するとアルコールによる糖新生抑制モードへ入るのでインスリン分泌は減少し、脂肪肝はさらに生じ難くなる。つまり問題は酒の肴なのだ。