電毛脱水症に梅干湯

北国では冬期に電気毛布を使用する人が少なくない。また高齢者は就寝時間が早いため長時間、床の中にいる場合が多い。その結果、朝方へかけて脱水症に陥る場合がある。これを当院では「電毛脱水症」と名付けている。症状として起床時の眩暈やふらつき、明け方の下肢のこむら返り(筋クランプ)などがある。ひどい場合、朝方に脳梗塞を生じる場合が稀に存在する。

 

対策は単純に眠前あるいは就寝後の水分補給だが、その際には多少の塩類の含有が欠かせない。不感蒸散は皮膚からの水分蒸発で一晩500㎖程度とされているが、これに電気毛布による発汗が加わるとより水分が失われる。不感蒸散で塩類の喪失はほとんどないと思われるが発汗では塩類が喪失する。したがって水だけの補給では塩類が不足し、低調性脱水を生じる可能性がある。

 

当院では以前までポカリスエットなどのスポーツドリンクを奨めていたが、それらに含有するブドウ糖が齲歯の原因となるうえにコストもかかるので現在は梅干し湯を奨めている。梅干し湯とは、お湯500㎖に種を取除いた梅干しを1~2個を入れたものであり、これを眠る前に飲用してもらうかトイレ等で目が覚めた時に飲用することを奨めている。ただ梅干しにも若干糖分は含まれているので、それが気になる場合は食塩 1.0gと塩化カリウム0.5g加えたものを一包として半包もしくは一包をお湯に溶いて梅干湯の代わりとして飲用してもらう。

 

最近は減塩信仰が世界中で広がっている。しかし運動選手や肉体労働者、一次産業従事者は汗をかく機会が多い。その結果、減塩により筋クランプや最悪の場合、脳梗塞などを起こし得るので配慮が必要だ。また一部の高齢者では利尿剤や利尿剤を含んだ降圧剤を服用している症例もあり、また糖尿病治療薬の中には利尿作用を有するものもあるので主治医はよく気をつけて指導すべきであろう。