ダイエットと骨粗しょう症

最近、ダイエットが原因で骨密度が低下し、骨粗しょう症を呈する若い女性がいると聞く。おそらく絶食ダイエットであったり、単品ダイエットであったり栄養バランスを無視した減量法を行った結果であろうと、簡単に予測はつく。食事療法のミスによる骨粗しょう症というなら三陸沿岸地域も同様である。東北の三陸沿岸は日本の他の地域に比べ圧倒的に骨粗しょう症の多い地域である。骨粗しょう症は風土病的ともいえる。その理由は単にカルシウム不足ではなく、複数の要因が重なって風土病化していると考えられる。

 

一般に日本人の1日当たりのカルシウム摂取量がその必要量を下回っているため、欧米人と比較して骨粗しょう症が多いと説明されるが三陸沿岸はそれだけではない。まず、この地域のカルシウム摂取量は国内のどの地方と比べても少ない。昔、当地方では牛乳をはじめチーズなどの乳製品を摂取していなかった。また肉食の習慣がなく動物性タンパク質の摂取量が圧倒的に少なかった。ちなみにカルシウム摂取は煮干しぐらい、動物性タンパク質摂取は魚介を中心としたものだが、いずれも1日当たりの必要最低量までは全く届かない。またお年寄りのご婦人は多産の方が多く、母乳によりカルシウムを喪失した。

 

ご存じの通り骨粗しょう症は腰椎の圧迫骨折の原因になるが私が子供だった昭和40年代、当地方には腰が90度に腰が曲がったご老人が当たり前だった。当時の寿命は70歳に届くか届かない時代だったので若い年齢で骨粗しょう症から多発性の腰椎圧迫骨折をきたしていたのだろう。最近となって、ひどく腰の曲がったお年寄りは減ったが、当院で骨密度検査を行うと閉経後の女性の90%以上が骨粗しょう症もしくは骨粗しょう症予備軍なのである。何百年に渡る三陸沿岸地域特有の食生活が今も続いており、今なお骨粗しょう症の本場なのである。

 

ところで日本人のカルシウム必要量は1日当たり600~700㎎とされているが、実際の摂取量は500~550㎎程度であるとされる。米国では「閉経後の女性や高齢の男性,成長の盛んな思春期,妊娠中,授乳中のようなカルシウムの必要性の高い期間には、1日1200〜1500㎎のカルシウムを摂取することが推奨される [Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A, 2005]」とされている。牛乳200㎖でカルシウム200㎎、したがって1ℓ飲んでもまだ不足している可能性がある。仮に飲めたとしてもコレステロールや体脂肪増加も問題になる。

 

当院では低カロリーで確実にカルシウムの摂取が可能なサプリが一押しである。米国では骨粗しょう症の治療に活性型ビタミンD3剤は使用していない。実際、異所性石灰化の問題などがあり、本当に骨粗しょう症に使用して良いか不明なのだ。ゆえに天然型ビタミンD400単位を含んだカルシウム含有量600㎎のサプリが一押しなのである。

 

 

引用文献

Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A. (2005年11月). 骨粗鬆症. 参照先: メルクマニュアル18版 日本語版: http://merckmanual.jp/mmpej/index.html