筋けいれんのメカニズム

夏の運動時や透析中の患者、大量飲酒後は下腿の筋けいれんを生じやすい。これらの原因に大きく関わっているのが脱水症と言われている。夏の暑い時には大量の発汗から脱水を生じる。また透析を受けている患者は4時間ほどで2~4ℓほどの水分を透析により除水するので脱水を生じる。大量飲酒はアルコール利尿より脱水を生じる訳だ。

 

だからといって水だけ補給しても改善しない。脱水というのは水だけが失われるものではないからだ。ヒトに限らず動物の体液組成にはナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムといった塩類(ミネラル)が存在するので、これを水とともに供給しないと脱水の予防や治療は不可能なのだ。ヒトの体液は細胞内液にはカリウム、細胞外液にはナトリウムが多く含まれる。

 

脱水は基本的に血液や間質など細胞外液の水分と塩類の喪失や欠乏を指す。細胞内液は細胞膜で守られており容易に脱水には至らない。もし細胞内液の脱水を生じたとしても、細胞外液の脱水がさきがけとなる。

 

例えば夏の運動時、大量の発汗を生じると脱水により容量血管である静脈圧が低下するため組織間質の水分(間質液)が毛細血管内に移動する。さらに発汗が進むと間質の脱水を通り越して筋肉細胞内の水が間質に移動する。すなわち筋肉細胞内の脱水が筋けいれんである。さらに脱水が進むと筋肉細胞が破壊され横紋筋融解症を生じる。

 

細胞外液の脱水がなくとも細胞内脱水を生じる場合がある。それは腎不全患者の塩分過剰摂取とアルドステロン症である。細胞外液のナトリウムの過剰状態があると細胞外液は膨張し細胞間質に浮腫を形成する。筋肉細胞内は脱水から筋けいれんを生じる。腎不全患者が塩分過剰になると高浸透圧から口渇を生じ飲水行動を取るため日常生活で筋けいれんを生じることは多くない。

 

アルドステロン症では浮腫や低カリウム、筋けいれん、高血圧を生じる。アルドステロン症は細胞外液にナトリウムを蓄積させることにより細胞外液を増加させる疾患なのだ。低カリウムは希釈によりカリウム濃度が低下する。細胞間隙は脱水になり筋けいれんを生じる。

 

糖尿病による高血糖や腎不全による高尿素窒素も細胞外液を増加させるが、飲水行動が容易なので筋けいれんを生じることは稀である。ただ泥酔や薬物で意識不明なら飲水行動が取れず、筋けいれんを自覚することなく横紋筋融解症に至る場合もあり得る。

 

 

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