低調性脱水症とは

近年は健康に対する意識も高く、高齢者のみなさんでも「減塩は体に良い」と言ってはばからない。また医者も患者の血圧が低くても高くても、基本的に「減塩、減塩」と一日中と語っている。でも、みんなが「そうだ、そうだ」ということは大概怪しい。一般的に「それが当たり前」と言われることに対しては常に「ほんまか?」と考えるようにしている。すべての事象はケースバイケースであり、この「減塩が健康に良い」などという話は相当怪しい。

 

たとえば低調性脱水症というのは夏場、高頻度に出現する。簡単に説明すると減塩中の人が脱水症予防のため水ばかり飲んでいると低調性脱水症になる。低調性脱水症とは主として夏期に水だけ補給した場合に生じる脱水症である。血漿などの細胞外液は主にナトリウムを中心した電解質で構成されている。一方、細胞内液はカリウムを中心とした電解質で構成されている。これらの電解質などで得られた浸透圧で拮抗しバランスしているのが生体だ。

 

もし発汗により汗や尿で大量に細胞外液から水と電解質を失った際、一方的に水だけ補給したなら細胞外液と細胞内液の浸透圧に差が生じる。そうなると浸透圧の高い細胞内液に水が移動する。つまり細胞内浮腫を発生する。すなわち循環血漿量は減少するため血圧低下や立ちくらみを生じやすくなる。また内耳の蝸牛内の蝸牛管の内リンパに水腫を形成しメニエール症を発生する可能性がある。いわゆる眩暈であり部屋がぐるぐる回りだす。

 

細胞内浮腫は脳細胞や筋肉細胞でも生じうる。いずれも細胞膜が存在するので数秒で水が移動することはないと思うが二日酔いの朝、MRIを撮影した場合に脳浮腫を生じているとの記事を以前読んだことがある。血管内すなわち細胞外液部分はアルコール利尿による脱水かつ細胞内液は浮腫。そういえば大酒飲みの顔は丸顔で皺が少なくテラテラしている。これは顔面筋肉の浮腫ではないかと考える。細胞外液の浮腫の場合、静脈圧の高い下肢がメインになるので顔がテラテラすることはない。

 

ビールを大量に飲んで二日酔いをきたした日にはいつもと違う頭痛と体のダルさがある。二日酔いの原因はアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが増加するからと説明されるが、脳浮腫や筋肉内浮腫も関与している可能性がある。大酒を飲んで帰宅すると血糖値が低下するため満腹であっても空腹感を感じるため、甘いものが欲しくなる。また低調性脱水症を生じる場合、塩辛いものが欲しくなる。

 

夏期のスポーツや肉体労働では想像以上の発汗がある。筋けいれんを生じるような細胞内脱水を伴う脱水症もあるし、あるいはメニエール症を生じるような細胞内浮腫を伴う脱水症も存在する。職種によっては、とりあえず夏期に水分と塩分を十分摂取する必要がある。