女性ホルモンと体重増加の関係

女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2種類がある。この内、エストロゲンはアルドステロンなどの副腎皮質ホルモンと同様に、腎尿細管でナトリウムの再吸収を促進しナトリウムを体内に保持するため体内水分量が増す。よって塩分の過剰摂取があれば浮腫を形成することもある。またエストロゲンは副腎皮質ホルモンと化学的類似性があるので食欲亢進作用も有する(腎では尿毒素を糸球体で濾過し、ミネラルを尿細管で再吸収する)。

 

月経とは受精されなかった卵子が子宮内膜の剥離という形、すなわち出血として生じたものである。月経後は毎月の卵巣周期に伴って卵巣からのエストロゲン分泌量が増加し、月経開始から4~7日で子宮内膜は再び上皮でおおわれる。その後、さらにエストロゲン分泌が増加すると子宮粘膜がさらに増殖し排卵を迎える(増殖期)。さらにエストロゲンだけでなくプロゲステロンの分泌も増大し受精卵を迎える状態に変化する(分泌期)。そこで卵子が受精されないとエストロゲンとプロゲステロンは急激に減少して月経が始まる(月経期)。

 

ガイトン [Arthur C.Guyton John E.Hall, 2010, ページ: 1081]によれば、子宮内膜の内膜周期は増殖期が約11日間、分泌期が約12日間、月経期は約5日間である。すなわち増殖期から分泌期のおおよそ20日間がエストロゲン分泌時期だとすれば、この期間はナトリウム貯留傾向が高い。特に排卵前後の10日間ほどはエストロゲン分泌が増し、ナトリウム貯留と、それに伴う体水分の増加さらに食欲はピークを迎える。

 

月経が開始する2日ぐらい前からエストロゲンは急激に減少するので、体内のナトリウムは利尿亢進という形で水とともに尿として排出される。その結果、ナトリウム貯留が過大であればあるほど体重は急激に減少する。一般にナトリウム貯留量(体内水分量)はナトリウム摂取量に正比例すると考えられので、たとえ食事を薄味なものに変えても、トータルでのナトリウム摂取量が多ければ体水分は増加するため体重は増加する。

 

もしエストロゲンの作用による体水分増加を予防するなら、排卵前後10日間の徹底した塩分制限が必要であろう。たとえば浮腫を形成するまでの体重増加を認めるなら、その間の利尿剤服用は有効だと考える。食事に関しては血糖三角を作らないような糖質制限が有効ではないかと考える。血糖三角を作るような単純糖質中心の食事だと空腹時に空腹感を強く感じ、さらに食欲が増進する可能性が高いので要注意だ。

 

カリウムは体内ナトリウムを尿中に排出する働きがあることが知られている。カリウムは生の野菜に多く含まれる。また刺身など生の食品に含まれる。また野菜のゆで汁にもカリウムは豊富だし、減塩醤油はナトリウムの代わりにカリウムを使用している。つまり生野菜をマヨネーズで、刺身を減塩醤油でいただく。無理なら1週間だけ利尿剤を処方しよう。

 

 

引用文献

Arthur C.Guyton, John E.Hall. (2010). Textbook of Medical Physiology,11th Edition(ガイトン生理学 原著第11版). (御手洗玄洋, 訳) 港区, 東京都, 日本: エルゼビア・ジャパン株式会社.