サウナと利尿剤さらに糖尿病治療の新薬

減量と称してサウナを利用する人たちがいる。発汗による脱水を促すために蒸気が満ちた熱い部屋で何十分か過ごすあれだ。体重制限の厳しいボクシングの選手なら理解できるが、一般の人には薦めにくい。急激な脱水は筋けいれんや低血圧さらには眩暈などを引き起こす可能性がある。脱水は体内水分の減少だが間質液の減少だけでなく循環血漿量も減少するため頻脈や不整脈を生じる原因になる。

 

利尿剤も同様である。腎臓の尿細管に作用してナトリウムの再吸収を抑制し、尿中にナトリウム排泄を増やすことによって増加した細胞外液や循環血漿量を軽減させる薬剤なのだ。よって浮腫や心不全に使用されるのだが、中には減量に用いる人もわずかに存在する。ただ毎日、利尿剤を使用すると慢性の循環血漿量の減少から腎血流が減少し腎機能障害から腎不全を生じる。血液は脱水により濃縮するため尿酸値が上昇し痛風発作を起こす。

 

2014年、糖尿病治療薬の新薬としてスーグラを先頭にフォシーガ、ルセフィ、デベルザ、アプルウェイ、カナグル合計6種類のSGLT2阻害薬が発売された。これらは一種の利尿剤でもある。旧来の利尿剤の多くはナトリウムの再吸収を抑え、尿中にナトリウムを排泄せしめることによって循環血液量や間質の余剰な水分を減少させる。この新薬は尿細管に作用してブドウ糖の再吸収を抑えて尿中ブドウ糖を増加させて血糖値を下げる新薬なのだが、実は高頻度に尿量が増加する。

 

肥満のⅡ型糖尿病の患者はインスリン抵抗性が高いために高炭水化物食を摂った後に高血糖を呈しやすい。そのためSGLT2阻害薬は、これらの患者に効果は高いと考えられるのだが、多くのブドウ糖が尿中に失われるため空腹時に低血糖を生じる可能性が高い。特にインスリン分泌を促すSU剤と併用すると空腹時に低血糖発作を生じかねない。

 

また尿量が増加するということは循環血漿量が減少することであり、浸透圧を維持するため等分のナトリウムも尿中に排泄される。この際に水分だけでなくナトリウムなども補給しないと容易に脱水症を生じる。したがって夏期にSGLT2阻害薬を使用する場合は脱水症に注意しなければならない。またこの薬剤は利尿剤に似て日光過敏や紅斑などの副作用がある。夏期の紫外線にも気をつけて使用しなければならないであろう。

 

単純高炭水化物食を好む肥満型のⅡ型糖尿病の日本人には効果が高いと考える。ただHbA1cが7%未満の比較的コントロールされた高齢者の糖尿病患者や屋外で作業を行う一次産業従事者の糖尿病患者などに対する使用は開始時期を検討して使用すべきであろう。また晩酌を欠かさない糖尿病患者は夜間の低血糖を生じる可能性があるので一応注意が必要だ。